ニュース
2025年1月17日
学生向けイベント
開催報告
2024年度課題解決型 海洋開発人材育成プロジェクト演習(PBL)
日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアムでは、海洋開発人材の育成のため、課題解決型学習(Project based Learning:PBL)のプロジェクト演習を実施しました。
今回は、本コンソーシアムの会員企業である、日本郵船株式会社、株式会社商船三井、ジャパン マリンユナイテッド株式会社、川崎汽船株式会社、戸田建設株式会社、株式会社IHI、株式会社INPEXの7社よりビジネス上の実際の課題に対して、4名のチームで約半年かけ、その解決策を提案しました。
今回は、本コンソーシアムの会員企業である、日本郵船株式会社、株式会社商船三井、ジャパン マリンユナイテッド株式会社、川崎汽船株式会社、戸田建設株式会社、株式会社IHI、株式会社INPEXの7社よりビジネス上の実際の課題に対して、4名のチームで約半年かけ、その解決策を提案しました。
開催概要
主 催 | 日本財団 オーシャンイノベーションコンソーシアム |
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協 力 | 大阪大学大学院 工学研究科 飯田隆人 准教授 東京大学 新領域創成科学研究科 平林紳一郎 准教授 |
実施期間 | 2024年7月15日~12月21日 |
参加者数 | 学生28名 |
今回のPBLを担当頂いた先生方からのひとこと
大阪大学大学院 工学研究科 飯田隆人 准教授 |
PBLでは正解のない問題に対して、異なる背景を持つ学生たちがグループとなり、現実的な様々な制約(技術や資金、法規制など)を考慮しつつ、自分たちが良いと思うソリューションを提案します。 今年度は過去最長で、半年という長い時間をかけて案を練ってもらいました。 そのため勢いだけでは乗り切ることができず、案の実現可能性の検討やグループ内での人間関係など、様々なところで立ち止まることが多かったように思います。 しかしどのグループもそうした困難を乗り越え、素晴らしい発表をしてくれました。 また参加した学生たちからは濃密な時間でとても楽しかったと言っていただきました。 タイムパフォーマンスを重視するばかりではなく、腰を据えて一つの難しいことにじっくりと取り組むという経験が、皆さんにとって大きな財産になればうれしく思います。 今後皆さんと未来の海洋開発産業を共に支える仲間としてともに働けることを心待ちにしています。 |
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東京大学 新領域創成科学研究科 平林紳一郎 准教授 |
約5か月間のPBLお疲れ様でした。総じてどのチームも完成度の高い仕上がりでした。また、単純な利益の追求のみに留まらず、社会受容性や人材育成といった数値化しにくい分野にも取り組んだチームがあったことが印象的でした。評価はあくまで一つの指標ですので、受賞したチームもそうでないチームも、最終発表に至るまでに成し遂げたことを誇りに思ってください。グループワークは自分だけが頑張ってもうまくいかないことが多く、メンバーそれぞれがグループ内での自身の役割を認識できてからが本番とも言えます。自分が得意なこと、そして他のメンバーが得意なことを共有するためにはよくコミュニケーションをとることが不可欠です。オンライン主体のグループワークでしたが、各グループとも多くの時間を掛け、最後にはお互いをよく知ることができていたように思います。このPBLを経て得られた経験とネットワークは今後の皆さんを支える礎となることでしょう。 |
企業・テーマ・チームメンバーの感想
チーム | 日本郵船株式会社 |
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お題 | で新たな海洋ビジネスを提案せよ! 日本郵船は、“Bringing value to life”の企業理念のもと、人々の生活を支えるために800隻以上の多種多様な船舶を運航しています。 予測が難しく変化が激しいVUCA時代においても、社会に貢献し持続的成長を続ける企業グループとなるためには、既存事業の高度化だけでなく新規事業の創出といった両輪による確実な成長が不可欠になります。世の中の新規事業はこれまで思いもしなかったようなアイデアやコラボレーションから生まれてきました。日本郵船という巨大な実験場を用いて、固定観念に捉われない自由な発想で新たな海洋ビジネスを提案してください! |
プレゼン概要 |
中古船を用いた移動式職業体験型施設『MarineChick』の提案。 これまで日本郵船が行ってきた活動を発展させ、さらなる海洋人材の確保を狙う。 地方に寄港し開催することで、洋上風力発電などの地元プロジェクトの促進も期待される。 |
チームメンバーの感想 | 能美和真 大阪大学 まずは、優勝という結果をいただけたことに非常に感謝しています。新規ビジネスの提案という自由度の高い課題ゆえに毎回の議論は非常に難解でした。しかし、少しずつ完成形を具体化し、足りない部分を補完し続け、最後までに形にできたことは大変喜ばしく思います。メンバーの皆を含め、社員の方々、先生方、他チームの学生からいただいた様々なコメントや指摘を参考に、今後も知見を広げ、日本の海洋事業を支えることのできる人材を目指し日々研鑽していきます。非常に貴重な機会をいただけたこと、深く感謝いたします。 鈴木崚介 秋田大学 まず初めに、サポートしていただいた日本財団の皆様、日本郵船の皆様、そして共に取り組んだメンバーに心から感謝申し上げます。今回のテーマは自由度が高く、その分難しさを実感しました。しかし、お題に対して試行錯誤しながらもアイデアをまとめ、最終的には考え抜いたビジネスプランをより良い形に仕上げることができました。また、半年間にわたる様々なミーティングを通じて、自分の強みや課題を認識する貴重な機会となりました。この経験を社会人になった際、実際の業務に活かし、社会に貢献できるよう努めていきたいです。 藤井悠羽 筑波大学 PBLに取り組んだ時間は、私にとってかけがえのない経験となりました。文系でありながら、将来海事産業に関わりたい、という気持ちから応募を決めました。自身と全く異なるバックグラウンドの持つ参加者が多い中で、始めは不安を抱いていました。しかし、多様な背景を持つメンバーと何度も話合って取り組んだからこそ、プレゼン資料の作り方などの技術的な面から考え方まで、多くの学びを得られました。また、時には煮詰まって後退をした6か月で、答えのない問いに取り組む大変さを感じられました。関わってくださった全ての皆様、ありがとうございました。 前川恵吾 神戸大学 このPBL演習では、社員の方々との濃密な交流を通じ、海事産業の本質やその特性について一層深く理解する機会を得た。現場に即した具体的な課題に触れる中で、理論を超えた実務的な知識の重要性を痛感するとともに、産業が抱える複雑な課題への洞察を深めることができた。また、プロジェクトを通じて、海洋資源の活用や環境への配慮が事業戦略にいかに組み込まれているかを実感し、その社会的意義についても再認識するに至った。この貴重な経験を礎に、持続可能な産業発展に資する人材として成長を遂げたいと考える。 |
TA | 関口政宗 東京大学(2024年海洋開発サマースクール参加・ノルウェー) |
チーム | 株式会社商船三井 |
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お題 | 水素キャリアを活用したオフショアでの新たなビジネスモデルを提案せよ! 商船三井は“BLUE ACTION 2035”のもと、海を起点とした社会インフラ企業として既存フィールドを拡張しながら新たな成長を目指しています。当社は水素キャリアの一つであるアンモニアの普及を見据え、一例としてアンモニア浮体式貯蔵再ガス化設備の事業開発を進めています。不確実性が高く将来予測が困難な現代においては、多角的な観点で社会課題解決に資する事業提案が求められています。そこで、アンモニアを含む各種水素キャリアの中から1つ選定し、既存の海運事業に捉われない柔軟性に富んだオフショアビジネスモデルを提案してください。 |
プレゼン概要 | 本提案のタイトルは「五感で味わう新しい移動体験」です。過去の交通機関にはなかった、移動自体が特別な思い出になることを目指します。 対象地は、ユニバーサルスタジオジャパン-関西国際空港です。 多くの外国人に溢れる関西で、日本らしいおもてなしを提供します。それを可能にするのが、水素を活用した燃料電池船であり、静音性と嫌な匂いもない事から、存分にサービスを味わい尽くせると考えました。 |
チームメンバーの感想 | 手嶋逸貴 神戸大学 この半年間は、有意義で貴重な時間でした。学びや出会い、挑戦の機会に恵まれ、ただの大学4年生には贅沢すぎるほどの経験をさせていただきました。一方で、反省すべき点も多くあります。例えば、MTGでの発言方法やタイムマネジメント、提案の完成度など、PBLが終了してから新たな視点や知恵を得る中で、多くの気づきをいただきました。今回ご交流のあった方々から学んだことも大変大きく、これらを糧に今後も成長していきたいと感じています。 改めて、日本財団様をはじめ、ご関係者の皆様に心より感謝申し上げます。 山田涼介 九州大学 このPBLでは、大学の講義ではふれることの少ない「答えのない問題にどう挑むか」という力を学ぶことができました。海洋開発の課題は規模感が大きく、自分一人だけでは太刀打ちできません。ですが、チームでコミュニケーションを怠らず、サポートしあうことで試行錯誤して良い提案を作ることができました。チームメンバーは勿論、商船三井の担当者様、TAさんや先生、また日本財団様をはじめとする本PBLをサポート頂いた皆様に感謝申し上げます。興味を持った方は、その好奇心を信じて是非参加してみてください。きっと、新しい発見や貴重な出会いを沢山得ることができます。 森田旭 大阪大学 この半年間は非常に充実したものとなりました。特に、普段では訪れる機会がないMOL本社への企業訪問は、貴重な経験となりました。普段の生活や活動では得られないような業界の実情や企業文化に触れることができ、視野を広げるきっかけとなりました。異なるバックグラウンドを持つメンバーとの議論を通じて、多くの学びがありました。議論の中では、時に知識や経験の違いが原因で行き詰まることもありましたが、そうした場面を乗り越えることで新たな発見があり、バックグラウンドの多様性がより良いアウトプットにつながることを実感しました。この経験を通じて、多様な挑戦の中にこそ成長のチャンスがあることを実感しました。これからも積極的に新しい挑戦に取り組み、様々な人々との出会いを大切にしたいと考えています。そして、自分とは異なる価値観や文化に触れ、その中から多くを学ぶことで、自分自身をさらに成長させていきたいと思います。 岡本優奈 大阪大学 普段の生活では経験できない多くの学びを得ることができました。約半年にわたるグループ議論や人間関係の構築、多様な知見との出会い、大勢の方の前での発表など、全てが貴重な経験です。B3ということもあり、この演習に参加することはかなり挑戦ではありましたが、参加して本当に良かったです。プロジェクトの難しさややりがいを実感し、自分の課題を見直す良い機会となりました。ビジネスや技術について学び、新規提案を行うことは初めてで、大変ではありましたが、とても充実した半年間になりました。最後に関係者の皆様、このような場を与えてくださりありがとうございました。 |
TA | 植田晴樹 大阪大学(2023年度PBL参加) |