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2025年1月17日

学生向けイベント

開催報告

2024年度課題解決型 海洋開発人材育成プロジェクト演習(PBL)

日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアムでは、海洋開発人材の育成のため、課題解決型学習(Project based Learning:PBL)のプロジェクト演習を実施しました。
今回は、本コンソーシアムの会員企業である、日本郵船株式会社株式会社商船三井ジャパン マリンユナイテッド株式会社川崎汽船株式会社戸田建設株式会社株式会社IHI株式会社INPEXの7社よりビジネス上の実際の課題に対して、4名のチームで約半年かけ、その解決策を提案しました。

開催概要

主 催 日本財団 オーシャンイノベーションコンソーシアム
協 力 大阪大学大学院 工学研究科 飯田隆人 准教授
東京大学 新領域創成科学研究科 平林紳一郎 准教授
実施期間 2024年7月15日~12月21日
参加者数 学生28名

今回のPBLを担当頂いた先生方からのひとこと

大阪大学大学院
工学研究科
飯田隆人 准教授
PBLでは正解のない問題に対して、異なる背景を持つ学生たちがグループとなり、現実的な様々な制約(技術や資金、法規制など)を考慮しつつ、自分たちが良いと思うソリューションを提案します。
今年度は過去最長で、半年という長い時間をかけて案を練ってもらいました。
そのため勢いだけでは乗り切ることができず、案の実現可能性の検討やグループ内での人間関係など、様々なところで立ち止まることが多かったように思います。
しかしどのグループもそうした困難を乗り越え、素晴らしい発表をしてくれました。
また参加した学生たちからは濃密な時間でとても楽しかったと言っていただきました。
タイムパフォーマンスを重視するばかりではなく、腰を据えて一つの難しいことにじっくりと取り組むという経験が、皆さんにとって大きな財産になればうれしく思います。
今後皆さんと未来の海洋開発産業を共に支える仲間としてともに働けることを心待ちにしています。
東京大学
新領域創成科学研究科
平林紳一郎 准教授
約5か月間のPBLお疲れ様でした。総じてどのチームも完成度の高い仕上がりでした。また、単純な利益の追求のみに留まらず、社会受容性や人材育成といった数値化しにくい分野にも取り組んだチームがあったことが印象的でした。評価はあくまで一つの指標ですので、受賞したチームもそうでないチームも、最終発表に至るまでに成し遂げたことを誇りに思ってください。グループワークは自分だけが頑張ってもうまくいかないことが多く、メンバーそれぞれがグループ内での自身の役割を認識できてからが本番とも言えます。自分が得意なこと、そして他のメンバーが得意なことを共有するためにはよくコミュニケーションをとることが不可欠です。オンライン主体のグループワークでしたが、各グループとも多くの時間を掛け、最後にはお互いをよく知ることができていたように思います。このPBLを経て得られた経験とネットワークは今後の皆さんを支える礎となることでしょう。

企業・テーマ・チームメンバーの感想

チーム
お題 で新たな海洋ビジネスを提案せよ! 日本郵船は、“Bringing value to life”の企業理念のもと、人々の生活を支えるために800隻以上の多種多様な船舶を運航しています。
予測が難しく変化が激しいVUCA時代においても、社会に貢献し持続的成長を続ける企業グループとなるためには、既存事業の高度化だけでなく新規事業の創出といった両輪による確実な成長が不可欠になります。世の中の新規事業はこれまで思いもしなかったようなアイデアやコラボレーションから生まれてきました。日本郵船という巨大な実験場を用いて、固定観念に捉われない自由な発想で新たな海洋ビジネスを提案してください!
プレゼン概要


中古船を用いた移動式職業体験型施設『MarineChick』の提案。
これまで日本郵船が行ってきた活動を発展させ、さらなる海洋人材の確保を狙う。
地方に寄港し開催することで、洋上風力発電などの地元プロジェクトの促進も期待される。
チームメンバーの感想 能美和真 大阪大学
まずは、優勝という結果をいただけたことに非常に感謝しています。新規ビジネスの提案という自由度の高い課題ゆえに毎回の議論は非常に難解でした。しかし、少しずつ完成形を具体化し、足りない部分を補完し続け、最後までに形にできたことは大変喜ばしく思います。メンバーの皆を含め、社員の方々、先生方、他チームの学生からいただいた様々なコメントや指摘を参考に、今後も知見を広げ、日本の海洋事業を支えることのできる人材を目指し日々研鑽していきます。非常に貴重な機会をいただけたこと、深く感謝いたします。

鈴木崚介 秋田大学
まず初めに、サポートしていただいた日本財団の皆様、日本郵船の皆様、そして共に取り組んだメンバーに心から感謝申し上げます。今回のテーマは自由度が高く、その分難しさを実感しました。しかし、お題に対して試行錯誤しながらもアイデアをまとめ、最終的には考え抜いたビジネスプランをより良い形に仕上げることができました。また、半年間にわたる様々なミーティングを通じて、自分の強みや課題を認識する貴重な機会となりました。この経験を社会人になった際、実際の業務に活かし、社会に貢献できるよう努めていきたいです。

藤井悠羽 筑波大学
PBLに取り組んだ時間は、私にとってかけがえのない経験となりました。文系でありながら、将来海事産業に関わりたい、という気持ちから応募を決めました。自身と全く異なるバックグラウンドの持つ参加者が多い中で、始めは不安を抱いていました。しかし、多様な背景を持つメンバーと何度も話合って取り組んだからこそ、プレゼン資料の作り方などの技術的な面から考え方まで、多くの学びを得られました。また、時には煮詰まって後退をした6か月で、答えのない問いに取り組む大変さを感じられました。関わってくださった全ての皆様、ありがとうございました。

前川恵吾 神戸大学
このPBL演習では、社員の方々との濃密な交流を通じ、海事産業の本質やその特性について一層深く理解する機会を得た。現場に即した具体的な課題に触れる中で、理論を超えた実務的な知識の重要性を痛感するとともに、産業が抱える複雑な課題への洞察を深めることができた。また、プロジェクトを通じて、海洋資源の活用や環境への配慮が事業戦略にいかに組み込まれているかを実感し、その社会的意義についても再認識するに至った。この貴重な経験を礎に、持続可能な産業発展に資する人材として成長を遂げたいと考える。
TA 関口政宗 東京大学(2024年海洋開発サマースクール参加・ノルウェー)
チーム
お題 オフショア石油・ガス開発事業とのシナジーを考慮した新規事業の提案 地球温暖化対策の加速化に伴い、エネルギー業界は大きな変革期を迎えています。当社はこの国内外の変化を新たな挑戦・飛躍の機会と捉えています。
そこで当社は石油・ガス開発で培ったHSE/地質/物理探査/掘削/油層/施設/生産分野などの技術力および、自社で保有/操業している海洋プラットフォームというアセットを強みに、新規事業を立ち上げます。 本実習では、これらの知見とアセットを価値として捉え、新規事業の提案とその具現化に向けた検討を行います。
プレゼン概要


風船を用いた緊急時における生産ガスの圧入装置の提案。
現状、メンテナンス・異常時の対策として、フレアへ変換して焼却処理されているLNGガス分を風船で回収することで、資源生産率の向上・温室効果ガス排出削減に貢献できると考えた。
風船の伸縮自由度の高さ、使用後の回収のしやすさ、海洋空間での土地有効活用に強みを見出した。
チームメンバーの感想 山口慎太郎 九州大学
INPEXグループで参加しました。テーマはオフショア石油ガス開発とのシナジーを考慮した新規事業という、幅広くアイデアをまとめることが難しいテーマでした。課題を分析し、将来像から考えていバックキャスティングは初めてで困難なことも多かったですがメンバーの専門性や人柄で解決できたと思います。全員が優勝を目指して本気で取り組んだからこそ悔しさや達成感を得ることができました。
INPEXの社員の方々、先生方、TAの入船さん、そして同じチームのメンバーのみんな本当にありがとうございました。

永田翔大 佐賀大学
私は先輩方の勧めと、今年1年挑戦したいと考えておりこのプログラムに参加しました。最初はここまで大変ではないだろうと、考えていましたがふたを開けてみると、かなり内容の濃い6か月になりました。普通ではできないかけがえのない6か月になりました。これが終わったときはとてもさみしくもあり、達成感もありました。この経験はいつか絶対に使えるときが来るので、その時までこの経験を忘れないようにしたいと考えています。

鈴木渉 日本大学
この6か月間は、私にとって非常に内容の濃い、大切な経験となりました。取り組みが始まると想像を超える忙しさと、自分の力不足を痛感しました。それでも最後までやり遂げることができたのは、支えてくれたチームの仲間とTAの入船さんのおかげです。このPBLで学んだ最も大切なことは「チームワーク」です。時には意見がぶつかることもありましたが、私たちのチームは思ったことを正直に言い合い、しっかり向き合うことができました。最後になりますが、INPEXチームの皆さん、本当にありがとうございました。皆さんの今後の活躍を心から応援しています。私自身も、この経験を糧に次のステップへ進んでいきたいと思います。

古川晃大 大阪大学
PBL演習を通じて、答えのない課題に挑む難しさや、グループワークの困難を痛感しました。これまでの経験や調査内容を基に仲間と議論し、新規事業を提案する過程では、普段の授業や研究とは異なるビジネス的な思考が求められることを実感しました。また、独創的なアイデアを生み出せたのは、間違いなく仲間の存在のおかげです。1人で考えるのではなく、毎週議論を重ねたことが成果につながりました。一方で、異なる背景を持つチームで協力するのは容易ではなく、全員が同じ方向を向く難しさも経験しました。それでも、最後は「話し合い」が解決の鍵だと改めて感じました。何度も対話を重ねることで、互いの考えを理解し合い、チームとしての結束を強めることができました。
TA 入船和貴 大阪大学(2022年海洋開発サマースクール参加・ノルウェー)
チーム
お題 水素キャリアを活用したオフショアでの新たなビジネスモデルを提案せよ! 商船三井は“BLUE ACTION 2035”のもと、海を起点とした社会インフラ企業として既存フィールドを拡張しながら新たな成長を目指しています。当社は水素キャリアの一つであるアンモニアの普及を見据え、一例としてアンモニア浮体式貯蔵再ガス化設備の事業開発を進めています。不確実性が高く将来予測が困難な現代においては、多角的な観点で社会課題解決に資する事業提案が求められています。そこで、アンモニアを含む各種水素キャリアの中から1つ選定し、既存の海運事業に捉われない柔軟性に富んだオフショアビジネスモデルを提案してください。
プレゼン概要


本提案のタイトルは「五感で味わう新しい移動体験」です。過去の交通機関にはなかった、移動自体が特別な思い出になることを目指します。
対象地は、ユニバーサルスタジオジャパン-関西国際空港です。
多くの外国人に溢れる関西で、日本らしいおもてなしを提供します。それを可能にするのが、水素を活用した燃料電池船であり、静音性と嫌な匂いもない事から、存分にサービスを味わい尽くせると考えました。
チームメンバーの感想 手嶋逸貴 神戸大学
この半年間は、有意義で貴重な時間でした。学びや出会い、挑戦の機会に恵まれ、ただの大学4年生には贅沢すぎるほどの経験をさせていただきました。一方で、反省すべき点も多くあります。例えば、MTGでの発言方法やタイムマネジメント、提案の完成度など、PBLが終了してから新たな視点や知恵を得る中で、多くの気づきをいただきました。今回ご交流のあった方々から学んだことも大変大きく、これらを糧に今後も成長していきたいと感じています。
改めて、日本財団様をはじめ、ご関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

山田涼介 九州大学
このPBLでは、大学の講義ではふれることの少ない「答えのない問題にどう挑むか」という力を学ぶことができました。海洋開発の課題は規模感が大きく、自分一人だけでは太刀打ちできません。ですが、チームでコミュニケーションを怠らず、サポートしあうことで試行錯誤して良い提案を作ることができました。チームメンバーは勿論、商船三井の担当者様、TAさんや先生、また日本財団様をはじめとする本PBLをサポート頂いた皆様に感謝申し上げます。興味を持った方は、その好奇心を信じて是非参加してみてください。きっと、新しい発見や貴重な出会いを沢山得ることができます。

森田旭 大阪大学
この半年間は非常に充実したものとなりました。特に、普段では訪れる機会がないMOL本社への企業訪問は、貴重な経験となりました。普段の生活や活動では得られないような業界の実情や企業文化に触れることができ、視野を広げるきっかけとなりました。異なるバックグラウンドを持つメンバーとの議論を通じて、多くの学びがありました。議論の中では、時に知識や経験の違いが原因で行き詰まることもありましたが、そうした場面を乗り越えることで新たな発見があり、バックグラウンドの多様性がより良いアウトプットにつながることを実感しました。この経験を通じて、多様な挑戦の中にこそ成長のチャンスがあることを実感しました。これからも積極的に新しい挑戦に取り組み、様々な人々との出会いを大切にしたいと考えています。そして、自分とは異なる価値観や文化に触れ、その中から多くを学ぶことで、自分自身をさらに成長させていきたいと思います。

岡本優奈 大阪大学
普段の生活では経験できない多くの学びを得ることができました。約半年にわたるグループ議論や人間関係の構築、多様な知見との出会い、大勢の方の前での発表など、全てが貴重な経験です。B3ということもあり、この演習に参加することはかなり挑戦ではありましたが、参加して本当に良かったです。プロジェクトの難しさややりがいを実感し、自分の課題を見直す良い機会となりました。ビジネスや技術について学び、新規提案を行うことは初めてで、大変ではありましたが、とても充実した半年間になりました。最後に関係者の皆様、このような場を与えてくださりありがとうございました。
TA 植田晴樹 大阪大学(2023年度PBL参加)
チーム
お題 今後の日本におけるCCSの展望を見据えた上で、当社のCCS事業のあるべき姿を提案せよ! 脱炭素社会に向けた多種多様な取り組みがなされているわけですが、中でも「CCS」は、既存の産業のインフラを生かした、より現実的なソリューションとして世界的に認知されつつあり、我が国においても「先進的CCS事業」として、事業化に向けた政府支援のプログラムが動き出しました。そのような大きな動きの中で、弊社も様々なお客様と手を携え、CCSを大きな事業に育てていきたいと考えています。海上輸送を軸としつつも、従来のシンプルな「輸送」の枠を超えた、より付加価値の高いビジネスのアイデアをお待ちしています。

※CCSとは、「Carbon dioxide Capture and Storage」の略。二酸化炭素回収・貯留技術のこと。発電所や化学工場などから排出されたCO2を、他の気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入するもの。
プレゼン概要


FSIUを用いた新たなCCUSバリューチェーンの事業提案。
FSIUとは船舶を洋上に浮かべ、その直下でCO2を貯留・圧入するものであり、それを今後のCCUS事業に組み込んで新たなバリューチェーンを提案した。そこでは経済性も評価し,そのバリューチェーンが以下に効果的かも示した。
FSIUのみではなく、中間貯蔵施設や船上回収も取り入れ、将来性と実現性を重視した提案にした。
チームメンバーの感想 伊藤駿 同志社大学
技術とビジネスの融合に、PBLの面白さはあったと思います。金融専攻の自分にとって、今回のお題やメンバーの属性は、普段とは異なる環境でした。そういった状況だからこそ、自分がどのような価値をチームに提供できるかを考え続けた半年になりました。現在、多くの企業が直面している環境課題に対し、学生の立場からCCUSバリューチェーン構築という切り口で提案を行った経験は非常に学び深いものとなりました。最終発表に至るまでの全ての過程にワクワクと学びがありました。最後に、今回のプロジェクトに半年間協力してくださった川崎汽船の皆様、先生方、TAさん、そしてチームのメンバーに心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。

森川あおい 早稲田大学
私の研究テーマであるCCUSについて、技術だけでなくプロジェクト全体の視点を学ぶため、PBLに応募しました。本プログラムを通じ、技術・アイデアだけでは事業の実現は難しく、その需要や経済性を考慮し、広い視点で投資評価を行う必要性を感じました。また、チームメンバーの課題発見力や分析力、資料作成スキル、プレゼンテーション力など、学ぶべき点が多くありました。ここで出会った仲間との出会いを大切に、共に成長し続けたいと思います。貴重な学びの場を提供し、ご支援くださった皆様に心より感謝申し上げます。

繁吉大悟 大阪大学
今回のPBLを経て,私は自己成長と協調性の二つがブラッシュアップできたと思う.自己成長に関しては知識面が主である.始める前はCCSの理解自体ままならないものだったが,主体的に疑問点を調査し,自らアウトプットを繰り返すと自然と知識が身についた.協調性に関しては日頃のメンバーとのグループワークや会社の方との連携を積極的にとり,集団での目的の共有や意見の一致を行うことができた.これら二つのことは今後,自分が社会に出る上で最重要項目だと思う.その点でかなり良い経験ができたと感じる.

角田将淳 名古屋大学
CCUSについてはサマースクールや授業で広く学んでいましたが,今回のPBLのように深める機会はあまりなかったので,大変勉強になりました.また,自分たちで積極的に情報を収集し,チーム内で共有し伝えることが求められるため,調査力やコミュニケーションスキルを実践的に学ぶ良い機会となりました.私が所属するチームでは,一つの目標に向かって全員が積極的に意見を出し合い,それぞれの得意分野を活かしながら活躍できたと思います.航空宇宙工学専攻の私も議論の中で皆から多くのことを学び,知識の面でも大変勉強になりました.
TA 安藤雄治 東京大学(2022年度PBL参加)
チーム
お題 25年後に基幹エネルギーとなり得る洋上風力発電設備を発案せよ 政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」達成に向けた再エネの導入を加速するため、潤沢な洋上の風資源を活かす設備やその製造、設置工法、エネルギーの消費地への輸送方法などの概念を固める必要がある。そこで、現在の浮体式洋上風力発電設備におけるエネルギーコストおよび生涯CO2発生量の低減といった課題を洗い出し、対策を講じたい。また、エネルギー源として3E+Sを満たし、地域にも貢献できるよう競争力を強化したい。以上より、25年後に基幹エネルギーとなり得る洋上風力発電設備と製造据付工法、それを支えるインフラストラクチャーを発案していただきたい。
プレゼン概要


「次世代大規模洋上風力発電フォーム」と「浮体式洋上プラットフォーム」を組み合わせることで、政府の掲げる2,040年の洋上風力産業ビジョン「30~15GWの案件形成目標」を達成すること目指した。次世代大規模洋上風力発電フォームでは、送電や変電、係留システムを最適化することによって、発電価格の低減と発電効率の向上を図った。浮体式洋上プラットフォームでは、日本の地理的要因から大量建造には不向きであることに着目し、洋上で建設が可能なプラットフォームの提案を行った。
チームメンバーの感想 簑田康平 九州大学
このPBL演習を通じて,将来の基幹エネルギーとなり得る洋上風力発電技術を構想する難しさと,その中に潜む可能性を感じることができました.15MW級の浮体式洋上風車を水深の深い海域に設置する手法を検討する中で,地形条件,運搬・組立技術、コスト,さらには将来の社会・環境変化を見据えた戦略的な判断が不可欠であると痛感しました.また,五島列島での企業訪問を通じて,新しい産業の導入がどのように地域に貢献することができるのかを考える重要性も再認識することができました.この経験を今後に活かし,より実践的で効果的な再生可能エネルギー導入に貢献したいと考えています.

松本雅紀 大阪大学
貴重な機会をいただき、かなり自分にとって有意義な期間になりました。私にとって、チームワークというのが実質的に初めてということもあり、進め方、知識などが他のメンバーに比べてかなり劣っていたように感じます。しかし、わからないことを正直に聞くことができるという点もこのPBLの良いところではあると思います。また、企業の方が実際何を考えてるのか、将来をどう考えてるのかを私たちが提案していることについて聞くことができるので、現実的に物事を考えて視野が広くなったと感じました。

山邉晃瑠 大阪公立大学
このPBL演習に参加するまでは浮体式洋上風力発電の知識はおろか、戸田建設の名前すら知らなかった。しかし、実際に五島市を訪問し、日本初の実海域で稼働する「はえんかぜ」をこの目で見て、企業の方々やプロジェクトメンバーと議論を重ねる中で、戸田建設の持つ高い技術力と日本の持つポテンシャルを深く学ぶことができた。一方で、日本にはそれをもってしても解決できない喫緊の課題としてエネルギー問題があることを痛感した。そのため、お題に明確な答えがないからこそ、時にはメンバーと意見が対立しながら最善な案を模索する議論の難しさと、その過程にある面白さを実感することができた。これからの日本を生きる当事者として現状を俯瞰し、あらゆる視点から議論できる良い経験となった。

神戸茉帆 大阪大学
本演習では答えのない問いに解決策を提案するに際して必要な能力やアプローチ方法を学ぶことができました.知識も考え方も異なるチームメンバーと次々浮上する課題に対して解決策を議論する日々は刺激的なものでした.企業の方とのコミュニケーションや五島列島の視察では洋上風力発電事業の関係者の様々な考えを学ぶことができました.また最終発表のおかげで自分に足りないものを自覚し,改善方法を考えることができました.このような貴重な機会を提供してくださった企業の方々,日本財団様,先生方,学生の皆さん,すべての方々に感謝申し上げます.
TA 藤田悠生 東京大学(2024年Floating Wind Challenge 出場)
チーム
お題 安心・安全できれいな海を取り戻せ! 近年,地球温暖化や海洋ゴミなどにより海洋の安心/安全性は損なわれ,“きれいな海”がどんどん失われています。周囲を海に囲まれた日本においても, 決して他人事ではありません。
課題に対して国/地域ごとにできることが異なるため,取り組み/結果にばらつきが生じることが考えられます。
海から宇宙までを網羅的に把握できる日本として,安心/安全できれいな海を取り戻すために,いまだ使い切れていない海洋ビッグデータ(衛星データ,空間情報などの海洋に関するあらゆる情報)を使って何ができるか,新たなビジネスを提案してください。
プレゼン概要


無人自立運航型ロボットを用いた海洋ゴミ回収の提案。
AIを搭載し、既存データや、運用しながら得たデータを分析することで回収のための最適化ルートを自ら選び、効率的に海洋ゴミを回収することが可能にする。また海洋プラスチックゴミ発生のプロセスから海洋に流れ出したゴミだけでなく、発生源である陸から出るゴミも回収することで根源にも対処し、将来的に海洋ゴミの絶対量を減らすことを可能にする。
チームメンバーの感想 井平光咲 大阪大学
学部3年での参加で初めは不安でしたが、とても貴重な経験となりました。PBLではチームで一から提案を作り上げていく必要があるので、自ら調べる•資料を作るなどの主体的な活動が求められました。院生や別分野の専門を持ったチームメイトと、テーマに即したビジネスを考えることは未経験の私にとってはハードルが高く、オンラインで会議をすることも意思疎通がうまく取れずに苦労することも多かったです。しかし、他大学や企業の方々との出会い、また真剣に何かをつくりだす経験が今後の自分の人生においてとても貴重なものとなりました。貴重な機会をありがとうございました。

木口佳南 大阪国際工科専門職大学
私はAI領域を専攻しているため、海洋に全く詳しくない状態で飛び込んだが、演習を通して海洋課題を深く理解することができたとともに、自身の専攻分野を活かした提案にもすることができ非常に楽しかった。 長期間でかつオンラインの活動がメインになるためコミュニケーション面では難しい部分もあったものの、普段経験しないプロジェクトの進め方としても学びがあり、刺激的な時間を過ごすことができた。

橋本陸人 横浜国立大学
海洋にまつわる様々な分野の人とつながることができた。自分の専攻上、船舶系の知識は一切なかったが、その中でも自分にできることは何かを考えて主体的に取り組むことの大切さを学んだ。

津本太一 大阪公立大学
約半年間、チームでテーマを整理し、一つの案を作り上げることは大変な作業でしたが、それ以上に有益で楽しい時間を過ごしました。研究発表では考える機会の少ない採算性や実現可能性について議論を深めたことで、ビジネスならではの視点を学び、思考を鍛える良い機会となりました。企業の方々からいただいた広い視野に基づく意見や、班員それぞれの専門分野からの視点は非常に刺激的で、多くの学びを得ました。同じメンバーでもう一度取り組みたいと思うほど、挑戦したいことが次々と浮かんできます。この経験を忘れず、今後も成長につながる機会を逃さず活かしていきたいと思います。最後に、メンバーや関わっていただいた皆さんに感謝申し上げます。
TA 滝澤大希 大阪大学(2023年海洋開発サマースクール参加・ノルウェー)
チーム
お題 海域先行利用者に歓迎される浮体式洋上ウィンドファームを設置せよ。 日本における洋上ウィンドファーム設置には海域の先行利用者の承諾が必要だが、多くの場合、同利用者の生業への影響に対する懸念から調整に多大な時間を要し、運転開始後も根強い反対派を残すケースもある。本テーマでは、発電事業者と海域の先行利用者の利害の対立が起こらず、関係者すべてがHappyな結果を得られるような浮体式洋上ウィンドファームを計画することをゴールとする。メンバーは候補海域の中からモデル地域を選択の上、発電規模、送電ルートを設定、計画から運転、将来の撤去までの各プロセスでのタスクを洗い出し、海域の先行利用者との共存戦略を立案すること。
プレゼン概要


地域に根ざした浮体式洋上風力発電事業の提案
地域の発展を目的とした洋上風力発電事業の提案。北海道岩宇・南後志を事業対象地域として、洋上風力発電を起点に、水素生産による交通機関の発展とフルボ酸鉄を活用した水産事業を展開する。これにより、地域の特徴である観光資源や水産資源を最大限活用し、地域の課題である人口減少と漁獲量減少、それに伴う税収減少や地域の衰退などを包括的に解決する。
チームメンバーの感想 岡本泰知 広島大学
このPBL研修では、異なる大学やバックグラウンドを持つ方々とチームを組み、約半年間、試行錯誤を繰り返しながら課題解決に取り組みました。別の日本財団さんのイベントで青森県の風力発電設備が多数設置されている地域を訪問し、現地で得た知見を提案に反映できたことは非常に有意義でした。また、TAの方々や企業の皆様からのアドバイスを活かしながら、チームメンバーと議論を深め、自分にはない視点に触れることで視野を広げることができました。この貴重な経験を提供してくださった関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

平松幹浩 北海道大学
ジャパンマリンユナイテッド様から頂いた課題を読み解くこと、対象とした地域の現状を分析すること、将来あるべき地域の姿を考察して、そのあるべき姿を実現させるためのアイデアを生み出すこと。これらを時間をかけて、グループメンバーと議論できたことはとても有意義だったと感じています。PBLに参加した目的は、洋上風力発電事業について深く理解することであったが、議論を通して、この目的は達成されました。日本財団様、ジャパンマリンユナイテッド様をはじめとした、本活動をサポートしていただいた関係者皆様に感謝申し上げます。

野呂健人 弘前大学
今回の提案を作成しながら、地域と連携した洋上風力発電事業の可能性に大きな魅力を感じることができました。「ウミサチプロジェクト」では、エネルギー供給だけでなく、地域経済や環境にも大きなインパクトを与えられる点を軸に、漁業や観光業との協力を深めることで、地域が一丸となり活性化する未来を提案できたと思います。また、水素生産を取り入れた脱炭素化の推進は社会全体にとって重要だと感じました。さらに、チームメンバーや他チームとの交流を通じて、多様な視点から学ぶことができたことに感謝しています。貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

山内翔真 筑波大学
今回のPBLを通して、専門分野や考え方が様々なメンバーと協力して一つのことを成し遂げる大変さと楽しさを知りました。また、考えた事業提案をどのようにすれば分かりやすく正確に伝える事ができるのか工夫を凝らす経験ができました。大学での研究や就職活動とPBLを両立する日々は大変でしたが、今回学べたことは今後の研究や仕事において活きる有意義なものだったため、参加して良かったと心から思います。日本財団様、並びに参加企業様、先生方、TAの皆様、そして参加学生の皆様、本当にありがとうございました。
TA 吉村怜 大阪大学(2023年海洋開発サマースクール参加・ノルウェー)
過去の開催報告 2023年
2022年
2021年
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