「海洋開発」の働き方って?
「海洋開発のエンジニアはどんな仕事をするのだろう?」各職種に就く先輩に、仕事内容や仕事のやりがいを聞いてみました。
海洋開発業界で働く人って
どんな人?
海洋開発業界で働く先輩に学生が気になる疑問を聞いてみました。
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神澤 謙ジャパン マリンユナイテッド株式会社
船舶海洋設計部
2017年入社 -
藤原 亮日本郵船株式会社
海洋事業グループ
2016年入社 -
樺島 雷人株式会社商船三井
技術部
2019年入社 -
末松 潤一三菱重工業株式会社
総合研究所 流体研究部
2017年入社 -
初田 広樹三菱造船株式会社
マリンエンジニアリングセンター
船舶技術部 船舶計画課
2009年入社 -
山地 宏典株式会社INPEX
技術本部
2009年入社 -
中村 崚登JX石油開発株式会社
クアラルンプール事務所
プロジェクトエンジニア
2019年入社 -
大森 陽平横河電機株式会社
IAプロダクト&サービス事業本部
オペレーショナル テクノロジーセンター
Co-innovative Solution部
2012年入社
「海洋開発」はまだまだ発展の余地が大きい未開のフロンティアであり、魅力に溢れています。このような魅力に溢れる海洋開発には、海洋工学、資源工学、機械工学、電気工学、造船工学、プロジェクトマネジメントなどの広範にわたる知識が必要とされており、いろいろな分野から若い頭脳を結集することが、この未開のフロンティアを切り拓いていく原動力となります。
このため、無限の可能性を持つ大学生、大学院生、社会人1年生などをターゲットに、海洋開発分野に関心を持ってもらい、また、自分の専門が海洋開発分野を切り拓く武器となることを知ってもらうために、海洋開発に必要となる広範な知識を体系的・包括的にカバーするよう「海洋開発産業概論」、「海洋開発工学概論」、そして「海洋開発ビジネス概論」と3種類の教材を作成し、公表しています。
「海洋開発産業概論」では、海洋開発の意義、産業の全体像が体系的・網羅的に紹介されています。
「海洋開発工学概論」では、海洋資源開発、海洋再生可能エネルギー開発について必要な工学的知識が網羅的に解説されています。
「海洋開発ビジネス概論」では、実際のプロジェクトの事例に触れ、ビジネスで必要なプロジェクトマネジメント、契約、ファイナンス、保険等の概念について説明されています。
国土交通省 「海洋開発人材育成のための教材開発」
設計施工
伊藤 隼
日本郵船株式会社
LNGグループLNG船計画チーム
EPC〔設計:Engineering、調達:Procurement、建設:Construction、据付〕では、例えば、石油の処理施設、貯蔵施設、あるいは生産プラットフォーム等を設計から据付までの一貫したサービス業務の役割を担います。EPCを手がける日本郵船の伊藤さんにEPCの内容・やりがいについて聞きました。
この仕事にはあらゆる知識が必要です。そのため、普段からできるだけ多様な分野に興味を持つ姿勢が求められます。もちろん、プロジェクトのなかでも多くの知識を吸収できますが、各専門家とある程度、会話ができるレベルの知識があれば大きなアドバンテージになると思います。
営業
古木 聡一
株式会社商船三井
MOL (Europe Africa) Ltd.へ出向中
営業とは、その名の通り、営利を目的として行う業務のこと。自社の製品を売り込んだり他社の製品を自社のビジネスモデルに取り入れたりすることで自社の利益とする役割を担います。 海洋開発事業での営業について商船三井の古木さんに聞きました。
営業にはコミュニケーション能力が不可欠ですが、特に自分の意見を伝えようとする姿勢が求められます。自分の専門分野以外のことについても、その道のエキスパートに相談しながら、ためらわずに意見を発信していくことが重要です。そうすることでお客さまも耳を傾けてくれるようになりますし、コミュニケーション能力も自ずと向上していくと感じています。
設計
川野邊 光
ジャパン マリンユナイテッド 株式会社
船舶海洋設計部
設計では、顧客の要望に合わせて、構造物の構造・材料選定・製造方法などの計画を図面に表す役割を担う。海洋開発事業で利用される特殊な船を設計しているジャパン マリンユナイテッド川野邊さんに設計について聞きました。
既存の船の複製であれば、日本より中国や東南アジアなどの方が安く作れます。しかし、イチから船を設計する場合には、さまざまな工夫や柔軟な対応ができる日本の設計力が求められていると感じます。まだ世の中にはないものを自分の頭で考え、設計することに魅力を感じる人には、非常に面白い仕事だと思います。
オペレーション
メンテナンス
緒方 稔泰
戸田建設株式会社
戦略事業推進室 浮体式洋上風力発電事業部
オペレーションメンテナンスとは、施工後の施設・設備の運転・設備保守・保全業務を行う事業のことです。浮体式洋上風車の施工後の運転管理業務、維持管理業務を担う戸田建設緒方さんに業務について聞きました。
浮体式洋上風力発電は電気工学や機械力学、流体力学、船舶工学、土木工学、建築学などさまざまな分野の技術から成り立っている、「面白い」、「多くの分野の技術者が関わる」構造体です。それゆえに、非常に奥深く、このような複雑な仕組みに興味がある人にはぴったりの仕事です。最先端の分野ということもあり、若手でもどんどん活躍する機会があるので、興味がある人はぜひ挑戦してください。
事業企画
佐藤 恵子
株式会社島津製作所
航空機器事業部 磁気装置部
事業企画では、事業の企画立案から計画立て、実行までを推進する役割を担います。海洋開発事業への自社技術の事業企画について島津製作所の佐藤さんに聞きました。
海洋開発の分野で国際的に活躍している日本企業は、まだほんの一部です。しかし今後、技術力のある日本企業が参入していくことで、海洋開発はより良い方向へ発展していくはずです。学ぶべきことが多く、大変ではありますが、目の前の課題に対し自ら考え、行動し、乗り越えることを楽しめるエネルギッシュな方であれば、活き活きと働ける仕事だと思います。
プロジェクト管理
岡本 尚子
日揮株式会社
空間設計第一部(プロジェクトマネージメント本部 オフショア事業部兼務)
プロジェクト管理とは、目的達成に向け、限られた資源(人材、技術、ノウハウ、資金)を効率良く投入し、その効果を最大限に引き出すべく、プロジェクトを計画・実行・コントロールすることです。海洋開発事業でプロジェクト管理の役割を担っている日揮グローバル岡本さんに業務について聞きました。
この仕事は、常に新しいアイデアを探求し、描いていけるような、知的好奇心が旺盛な方に向いています。また男性が多い職場ですが、だからといって「女性にはできない」ということは全くありません。専門性と好奇心があれば誰にでも活躍の機会はありますので、興味がある方はぜひ飛び込んできてください。
神澤 謙
ジャパン マリンユナイテッド株式会社
船舶海洋設計部
2017年入社
現在は海洋構造物の設計に携わっています。具体的には洋上風力発電装置の浮体設備や、オイル&ガス業界で使用される海洋プラットホームの設計、CO2回収&貯留(CCS)に用いる洋上設備や輸送船の設計、メタンハイドレート開発に関わる船の開発などです。いずれのプロジェクトも未踏の領域が多く、自分のアイデアを織り込みながら、誰も見たことがないものを作っていく過程に面白さを実感します。海はある意味では、宇宙よりも未知な存在です。宇宙と異なり、光が届かない海の中には、解明されていないことがたくさんあります。まだ人類が発見していない資源が眠っている可能性もあるなど、非常にロマンを感じます。
海洋開発を難しくしている要因の一つが、プロジェクトの規模感にあります。浮体設備だけで500~600億円もの費用がかかることは珍しくなく、設計する対象はもちろん、関わる人数や影響範囲などのスケールも壮大です。そのなかで私たちが対峙する相手は「海」です。波や風、潮といった自然を相手にしている状況では、わずかな設計ミスによって簡単に倒壊や破損が起こり得ます。その上、洋上でちょっとした補修をするにも莫大な時間とコストがかかる可能性があるため、初期の段階から確かな設計をすることが非常に重要です。プレッシャーは大きいですが、だからこそ、やりがいも計り知れません。
海洋開発はまだまだ発展途上の分野ですが、実用化に向けて着実に研究の基盤が整ってきています。スケールが大きすぎるあまり、一企業の手に負えないプロジェクトでは、自社の技術力に加え、国や企業の枠を超えた横のつながりが欠かせません。そこで重要になってくるのが、国の推進やコンソーシアムのサポートです。特にコンソーシアムで定期的に開催されるセミナーは、最先端の情報をインプットするための貴重な場となっています。ヨーロッパで洋上風力発電の実績を積んだ方から直接お話を伺うことができるなど、毎回非常にいい刺激を受けています。
藤原 亮
日本郵船株式会社
海洋事業グループ
2016年入社
就職活動では、運輸やエネルギー開発といった社会貢献度の高い仕事に就きたいと考えていました。加えて一技術者としては、日本の技術力を世界に発信していきたいという思いもあり、若手のうちから海外で働く機会の多い現在の仕事を選びました。実際、入社2年目から3年間はシンガポールに駐在。自社のさまざまな船の保守点検や修理などに携わりました。若手のうちから、全体の工程管理から品質管理までを担当し、外国人スタッフとコミュニケーションを取りながら働いたことは非常に学ぶことが多く、貴重な経験となりました。
いわゆるメーカーなどの場合、製品の仕様を決めて製造し、納品するところまでが一つのサイクルだと思います。しかし私たちは自社で作った製品を所有し、メンテナンスをしながら20~30年間使い続け、最終的にスクラップされるところまで見守ることができます。実際に使ってみると、イメージしていたものと違ったり、より良いアイデアが浮かんだりすることもあります。例えば錆が想定より速く進行したなら、次回は塗装をもっと厚くしようなど、ユーザーとしての気づきを技術者として次に活かせる面白さは、ものづくりの業界でも非常に珍しいものだと思います。
現在は、FSRUという浮体式LNG貯蔵再ガス化設備の開発に取り組んでいます。会社としてもまさに新しいことに取り組んでいる状況なので、国やクライアントの要求に応じて、イチから情報収集をし、アイデアを出しているところです。技術者だからといって専門の知識や技術だけを習得すればいいというわけではなく、さまざまな国のプロフェッショナルやクライアントと接するなかで、国際レベルでのマネジメント能力や交渉力が求められます。私も技術者としての力量を高めつつ、チームをまとめていけるジェネラリストとしても成長できるよう、バランスよく経験を積んでいきたいです。
樺島 雷人
株式会社商船三井
技術部
2019年入社
いかがでしたか?
私は1カ月間、ノルウェーのサマースクールに参加しましたが、大変だったことの一つは語学です。講義はすべて英語で行われるため、自分の専攻分野については理解できても、馴染みがない分野だと聞き取るのに苦労しました。講義後は宿泊先のホステルで他の留学生と一緒に課題を解いたり、自炊をしたりと、忙しくも楽しい時間を過ごしました。また、勉強だけでなく、オフの時間には旅行に出かけるなど、異文化に触れられたこともいい思い出です。当時のメンバーとは今でも親交があり、業界についての意見を交わしたり、情報共有したりとお互いを高め合えるいい関係が続いています。
私は大学で船舶の研究を専攻していましたが、サマースクールでは専攻分野だけでなく、海洋開発全般の背景知識について学べたことは非常にいい経験となりました。船舶の研究開発では日本も負けていないと感じた反面、海洋エネルギーや資源の開発に関しては、技術力の差を目の当たりにしました。ノルウェーでは国の経済の根幹に関わる事業だけに、期待や使命感が強く、その分、研究も進んでいます。大学・民間企業・国がしっかりと手を組んで海洋開発に注力している様子を見て、日本におけるコンソーシアムの重要性をより認識することができました。
現在は海運会社の技術部に所属し、船の設計から値段交渉、造船契約まで幅広く携わっています。当面の目標は、現場を含むさまざまなフェーズを経験することで、技術者として成長することです。例えば、一つの機器が30万円と言われても、実物や機能を見たことがなければ、値段やスケジュールの妥当性がわかりません。ですが細部への理解が深まれば提案の幅が広がり、より良いものづくりに貢献できると感じています。そうして技術者として一人前になったのち、将来的には新エネルギーの開発や新燃料で動く船など、新たな技術開発にも携わりたいです。
末松 潤一
三菱重工業株式会社
総合研究所 流体研究部
2017年入社
もともとは宇宙開発に興味があったのですが、学生時代に三菱重工業のインターンシップに参加したことがきっかけとなり、海洋開発を志すようになりました。インターンシップでは、まさに今、私が所属している流体研究部のプログラムに参加。ここでは宇宙も海洋も含めた、最先端の研究開発を行っていますが、インターンシップで題材になったのは海底資源の採掘に関するものでした。それまで全く触れたことがなく、「こんなに面白い分野があったのか!」と驚いたのと同時に、強く興味を惹かれた体験が、そのまま現在の仕事につながっています。
この仕事の特徴の一つは、圧倒的なスピード感です。ロケットや航空機など、当社で製造しているさまざまな製品のほとんどは、技術が高度に発達し、成熟しているものです。一方で海洋開発はまだまだ未完成の分野ですから、自分たちで新しいアイデアをイチから生み出していく必要があります。若手であっても自由にアイデアを発信できますし、チームでブレストした内容が、半年後には試験装置として形になっているということも珍しくありません。このように短いスパンでアイデアを実現できる面白さは、これから成長していく業界ならではの魅力だと実感しています。
日頃から世界各国のニュースや論文など、さまざまな情報に目を通すようにしています。もちろん、業務時間内にも専門分野の論文を調べることはありますが、プライベートな時間であれば、海洋開発に限らず、興味の赴くままに調べられます。AIやロボット技術などの最先端の情報に触れることで「世界では今、こんな技術が実現しているのか」と発見することは純粋に楽しいですし、その中から仕事のヒントが見つかることもあります。アイデアという点では、SF小説なども意外と参考になります。お気に入りは、海洋開発をテーマにした作品も発表しているアーサー・C・クラークです。
初田 広樹
三菱造船株式会社
マリンエンジニアリングセンター
船舶技術部 船舶計画課
2009年入社
私の出身は港町で、幼い頃から船が身近にある環境で育ちました。その中で自然と船に関わる仕事に就きたいと思うようになり、学生時代には航海士を目指していたこともあります。しかし、インターンシップで造船所を見学した際、船のスケール感に圧倒され、「大規模なものづくりに携わりたい」と思い切って進路を変更することに。就職活動では造船会社を中心に検討していましたが、特にフェリーをはじめ、タンカーやガス船、海洋調査船など、あらゆる種類の船を建造している技術力に魅力を感じ、現在の会社に就職することを決意しました。
現在は新エネルギーの開発の他、一般商船の初期の設計業務などに携わっています。船の設計を行う際には、まずお客さまの要望のもと、基本コンセプトを作成します。そして船体の構造や推進、機関装置、電気、配管など、10人ほどの設計担当がそれぞれの分野を担当し、提案をまとめていきます。その中で私が担当するのは、クレーンや船を港につけるために必要な、係船設備などの艤装部分の設計です。この仕事は基本的にオーダーメイドであり、一つとして同じ船は造りません。だからこそ唯一のものを作り込む楽しさや、常に新しい知識・技術が得られる面白さがあります。
私はこれまでにも海洋調査船の建造などに携わってきましたが、本腰を入れて海洋開発に取り組むようになったのは最近のことです。もともと造船業のスケール感に魅力を感じてこの世界に飛び込みましたが、今は海洋開発の仕事にも携わるなかで、より一層、海の可能性の大きさや奥深さを実感しています。未知の領域の研究開発を行うことは大変ではありますが、その分、面白くもあり刺激的です。これまで培ってきた造船の知識・技術を活かしながら、今後も海洋開発の経験を積み、明るい未来を切り拓くための一翼を担いたいと思います。
山地 宏典
株式会社INPEX
技術本部
2009年入社
私は現在、オーストラリアとインドネシアのLNG(液化天然ガス)プロジェクトのマネジメントを行っています。具体的には洋上の浮体設備や船体に関する設計業務のサポート、オペレーションの状況確認などです。多国籍のスタッフが集まる場では、コミュニケーションにも文化の違いが表れます。例えばフランス人や韓国人は日本人同様、上下関係に厳しいですが、オーストラリア人は立場に関係なく意見を自由に言います。こうした違いを理解した上で、試行錯誤しながらスタッフを束ね、プロジェクトを成功へと導く仕事に面白さを感じています。
自分が設計段階から関わり、海外の工事現場や洋上のプラットフォームで作業をした結果、実際にガスやLNGが届けられた時には、大きな達成感が得られます。実際にオーストラリアのプロジェクトでは、2018年からLNGの生産がスタート。日本の消費者に届けられていることを非常にうれしく思います。この業界の特徴としては、海外に赴く機会が非常に多い点です。オーストラリアのプロジェクトでは、現地の工事現場と、洋上のプラットフォームを製造していた韓国の造船所を行き来するなど、プラント建設や資材の調達のために世界中を飛び回りました。
目下の目標は、インドネシアのLNGプロジェクトの責任者として、設計から完成までやり遂げることであり、ゆくゆくは浮体式のLNG生産設備であるFLNG(Floating LNG)など、新しい技術を使用したプロジェクトに携わることです。海洋開発の分野には、気象や海象、地盤設計などの海洋の基礎的な知識が求められるため、AIのような目新しさがないと感じるかもしれません。しかし伝統的な技術も意外と奥深く、幅広いため学びは尽きません。会社としても今後は再生可能エネルギーへの参入に力を入れていくということもあり、将来的には洋上風力発電や海流発電などの開発にもチャレンジしていきたいです。
中村 崚登
JX石油開発株式会社
クアラルンプール事務所
プロジェクトエンジニア
2019年入社
もともと海外の大学で学びたいと考えていた時に、コンソーシアムでサマースクールを開催していることを知り、ノルウェーのプログラムに応募しました。1カ月間の講義では、洋上風力発電や石油開発の概念から、より専門的な構造力学や流体力学に至るまで幅広く学びます。私は日本の学部でも海洋分野を専攻していましたが、専門的な講義内容を英語で聞くのはなかなか苦労しました。また講義以外での課題も多く、一緒に留学に行ったメンバーとホステルで夜な夜な助け合いながら課題に取り組んだことは、今となってはいい思い出です。
一番は海外での対応力が身についたことです。私は入社後たった3カ月で、マレーシアと中国での現場研修に参加しました。また、現在は石油開発会社のプロジェクトエンジニアとして、マレーシアの洋上にある天然ガス生産施設の建設・改造業務に携わっています。このように、海洋開発は海外との接点が非常に多い業界です。しかも若手だからといってただ指示を待つのではなく、国籍・文化的背景を異にする人たちを巻き込みながら仕事を推進していかなければなりません。学生時代に海外生活の経験がある人とない人とでは、そこでの対応力や適応力に大きな差が出てくると実感しています。
石油開発業界は今、変革期を迎えています。天然ガスの需要が増え続ける一方、環境問題にも注目が集まっています。私もゆくゆくは天然ガスを原料とした水素エネルギーの開発など、次世代に向けた開発プロジェクトに携わりたいと思っていますが、目下の目標は強みを持ったジェネラリストになることです。プロジェクトエンジニアは一人前になるのに10年以上かかると言われており、自分の強みを持ちながらも全般的な知識が求められます。まずはたくさんの経験を積みながら、スケジュールや財務の管理、契約のガイドラインなど、幅広い知識を身につけたいです。
大森 陽平
横河電機株式会社
IAプロダクト&サービス事業本部
オペレーショナルテクノロジーセンター
Co-innovative Solution部
2012年入社
現在は、石油業界で使われるケミカルインジェクションフローコントロールバルブの営業を行っています。石油の採掘場や輸送パイプラインで用いられる配管には、詰まりや腐敗を防ぎ、石油の流路を確保するための薬剤が注入されています。この製品は、長期安定性の実現が困難で、過剰注入や、手作業によるメンテナンスが不可欠となっていた配管への薬剤投与を、流量計測及び調整機能などを備えたバルブによりメンテナンスフリー及びオートメーション化を実現するものです。製品の魅力を訴求すべく、1カ月の半分は東南アジアや中東などの海外のお客さまのもとを訪問。ほかにもWEBやSNSを活用したプロモーション活動なども行っています。
ケミカルインジェクションの分野では、従来のソリューションにおいて、これまで当然のように行われてきた薬剤の過剰注入に疑問を感じている企業も少なくありません。従来の手作業が多く介在する薬剤注入では、正確な投与量を安定供給することが難しく、作業効率はもちろん、コストや安全面が課題となっていました。さらに余剰となった薬剤の処理にあたり、海洋環境に与える影響も無視できません。当社のバルブによって、こうした課題を解決したお客さまから「導入して本当に良かった」と喜んでもらえた時には、大きなやりがいを感じます。
今後の目標は、石油開発の現場に当社のコントロールバルブを一つでも多く導入することで、作業効率のアップや運用コストの削減に貢献することです。当社が取り扱うコントロールバルブは、これまでにない画期的な製品ですが、だからこそ価値が理解されにくいという難しさがあります。ノルウェーの国営石油会社などで導入されているものの、世界全体で見るとまだ十分には浸透していません。まずは製品のメリットを一つずつ丁寧に説明しながら、世界の石油メジャーを中心にトライアルを進めているところです。そうしてゆくゆくは石油業界全体の働き方や、海洋環境をより良いものに変えていきたいと思います。