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コンソーシアムとは
総理からの海の日メッセージ

阿部総理140年前の今日、明治天皇が東北・北海道を巡る旅から、無事、横浜港にお帰りになられました。これが「海の日」の由来です。
その際、明治天皇が乗船されていた船が、当時、最新鋭の巡視船であった「明治丸」です。
「明治丸」は、日本の周囲に広がる海を駆け巡り、1875年、いち早く小笠原に駆け付けました。

イギリスに先駆けること、実に2日前の出来事です。たった2日。
この差が、日本の小笠原領有を決定づけたのです。
この船がなければ、豊かな海洋資源をたたえる小笠原は、イギリスのものになっていたかもしれません。

日本は、世界第6位の規模となる広大な排他的経済水域を管轄していますが、その約3割が小笠原を起点とした海域です。
全国津々浦々の漁師が、この海域をめざしてやってきます。
小笠原が、日本の食卓に豊かな海の恵みをもたらしているといっても過言ではありません。
海岸線に沿って、約5kmごとに漁村が存在する。そんな国は、世界中見回しても日本くらいではないでしょうか。

水産資源だけではありません。日本の輸出入貨物の99%以上、国内輸送の約4割が海上輸送に依存しています。日本人にとっては、海が無い生活を想像することができないほど、海は身近な存在なのです。 

古来より、海洋と貿易の自由は、人類の発展・繁栄の礎でした。
私は、いかなる紛争も力の行使や威嚇ではなく、国際法に基づいて平和的に解決すべきだと国際社会で繰り返し訴えてきました。
強い者が弱い者を振り回す。
そのようなことは、自由な海においてはあってはなりません。
国際社会全体の平和と繁栄に不可欠な、法の支配が貫徹する公共財として「海」を保つことにこそ、全ての者に共通する利益があります。

「海は万人のもの」。
400年前に、「国際法の父」グロティウスが唱えた言葉は、今後も変わることがありません。
この素晴らしい海を、次の時代に引き継がなければなりません。世界に広がるシーレーンを脅かす海賊の存在は、日本のみならず、海上交易を行う国にとっては、死活問題です。「海に守られた国」から「海を守る国」へ。
日本は、自由で、平和な海の確保にリーダーシップを発揮しなければなりません。

しかし、残念ながら現在、海に関係する大学の学科が減少しております。
私が若い頃は、海洋関係の仕事といえば、7つの海を渡り歩くロマンにあふれ、多くの若者の憧れの的でした。
現在の若者たちにも、海に未来を見出していただきたい。
日本にとって、海はこれからも恵みの母です。
例えば近年、日本の周囲には、メタンハイドレートを始めとして、多様な資源が眠っていることがわかってきました。
海には資源も仕事もあります。
是非、次世代の若手には果敢に海洋開発にチャレンジしてもらいたいと思います。

そのためには、若者を鍛え、心の拠り所となる、現代の「明治丸」が必要です。
海洋開発技術者の育成をオールジャパンで推進するため、産学官を挙げたコンソーシアム、「未来の海 パイオニア育成プロジェクト」を立ち上げることといたします。
このコンソーシアムにより、大学では、企業から派遣された講師が、実践的な授業を展開し、企業が提供する実際の事業現場で実習も行います。

私は、現在2000人程度とされる、日本の海洋開発技術者の数を、2030年までに5倍の1万人程度に引き上げることを目指します。
コンソーシアムが輩出する人材が海洋資源開発をリードし、新たな海の恵みを手にすることを期待しています(第20回「海の日」特別行事 総合開会式における安倍内閣総理大臣スピーチより。一部抜粋)。

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