コンソーシアムのご支援により、スコットランドロバートゴ ードン大学(RGU)での海洋開発サマースクールプログラムに参加させていただきました。私は水中ロボットに興味があり、大学のサークル活動では水中ロボット(ROV)を製作し、大学2年次と3年次に海洋研究開発機構(JAMSTEC)横須賀本部にて開催された「水中ロボットコンベンション in JAMSTEC」に出場しました。卒業研究のテーマは「非線形引き込みを使った海中可視光通信装置の開発」で、水中ロボットや水中観測装置に用いる光通信の研究を行なっております。そのため今回、海洋開発の最前線として有名なスコットランドのアバディーンやオークニー諸島にて、ROVが海洋開発の現場でどのように使われているのか学びたいと思い、応募させていただきました。
ROVが海洋開発の現場でどのように使われているのか学びたいと思い、このサマースクールに応募させていただいた立場から、この4週間で何を得られたかまとめます。
写真)ROVOP社訪問
石油・天然ガスについて、地質学から海洋掘削方法まで、幅広く教えていただきました。ROVが海洋掘削の現場で具体的にどのような作業をしているのかよくわかりました。ROVは海底に設置された構造物にパイプラインやケーブルを接続する作業に使われていました。
洋上風力発電、潮流発電、波力発電についての講義が行われました。Government、Community、Businessの3つのグループに分かれ、それぞれの立場で海洋エネルギー発電の導入プロジェクトを考えるグループワークが始まりました。特に潮流発電では、デバイスを潮の流れが速い海域に設置するため、安全上の理由で設置時にダイバーが作業できません。そこで、ROVが活用されているということがわかりました。
欧州海洋エネルギーセンター(EMEC)のあるオークニー諸島を訪問しました。オークニー諸島で海洋開発に関連した仕事をされている方々による講義を受け、波力発電・潮流発電デバイスの実物の見学や、陸上の風力発電機の内部見学等をさせていただきました。オークニー諸島でも当然ROVが使われており、デバイス設置の際に活用されているということを学びました。
短時間でしたがROVオペレーターのROVOPを訪問しました。ROVの見学や、操作シミュレータの体験をさせていただきました。
この訪問は私にとって最も興味深いものでした。ROVの実物を間近で見学し、内部の構造までよくわかりました。シミュレータでは、海底に設置された石油採掘装置にケーブルを接続する操作体験を行いました。潮流がない設定でもROVの操作は難易度が高く、思ったようには動かないと感じました。
最終日には、Government、Community、Businessの3つのグ ループがそれぞれWeek2から考えてきたプロジェクトの最終発表を行いました。私はCommunityグループで、福島県沖に洋上風力発電所を建設するプロジェクトを検討し発表を行いました。
写真)キングス・クロス駅にて
4週間を通して、日本とスコットランドのROVの構造に、大きな違いはないと感じました。しかし、大きく異なる点に気付きました。それは、スコットランドではROVが産業として確立しているという点です。日本にもROVはありますが、それは主に研究機関の海洋探査で使われており、産業としての意識はまだ低いと感じています。
今後日本が海洋開発分野で世界をリードしていくためには、海洋開発に欠かせないROVを産業として確立させ、海洋開発を進める必要があると思います。そのためには、ただROVを作って売るのではなく、教育を充実させ人材を育成する必要があります。スコットランドではROVが産業として確立しており、今回体験したシミュレータのように教育設備も発達していることがわかりました。ROVをどのように使い、日本のROVの分野が今後どうあるべきなのか、それが今回私なりに今回のサマースクールを通じ学んだ最も重要なことです。
1ヶ月間スコットランドで生活し、海外での生活に自信がつきました。今後は、今回のサマースクールで学んだこと、経験、英語力を活かし、海外で活躍していきたいと考えています。