産業紹介
海洋石油・天然ガス開発の産業構造

海洋石油・天然ガス開発の工程として、探鉱、試掘、開発、生産、輸送という流れをとります。2015年度には、開発に世界全体で30兆を超える投資が行われており、海洋石油・天然ガス開発は一大産業となっています。

産業構造は、開発の操業主体となるオペレーター、オペレーターから探鉱、掘削等の業務を請け負うコントラクター、開発にかかわる設備や機器を製造するマニュファクチャラーの3層で形成されています。

海洋石油・天然ガス開発の産業構造

オペレーター(主な関連企業)

資源開発会社 プロジェクトに参加する企業群の中で中心となってプロジェクトの全体を統括する会社で、オペレーターと呼ばれます。産油国との交渉や生産設備のコンセプト設計、生産現場の操業まで、プロジェクトの全てのステージに直接関わります。

コントラクター(主な関連企業)

海洋探査会社 物理探査船や無人探査機等を用いて、海底資源の存在を調査します。
フィールドサービス会社 掘削設備を用いて、海底油田・ガス田の試掘作業や生産用の坑井の建設作業を行います。
エンジニアリング会社 生産設備の基本設計、基本設計に基づく設計、必要となる機器資材等の調達、建設などを行います。
海運会社 オフショア支援船により、掘削設備や生産施設への資材や燃料輸送、生産設備に貯蔵された原油の輸送等を行います。

マニュファクチャラー(主な関連企業)

造船会社 生産設備や掘削設備の船体部製造や搭載設備の組み立て、オフショア支援船等の建造を行います。
機器メーカー エンジニアリング会社や造船会社が必要とする機器を製作し納品します。

探鉱工程で利用する

探鉱工程で利用する (物理探査船)

海底下の地層構造は、海面付近から音波を発信し、海底下の地層に当たって跳ね返ってきた反射波を3次元的に計測することで分析されます。探鉱には、音波を発信する“エアガン”と反射波を受信するストリーマー・ケーブルが曳航可能な物理探査船が利用されます。

より広い海底地層を一度に調査できるように、物理探査船には長さ数キロメートルに及ぶストリーマー・ケーブルを複数曳航できるように設計されています。近年では、より多くのストリーマー・ケーブルを曳航できるよう船尾の船幅を大きく広げた物理探査船が建造されています。

掘削に利用する設備

掘削に利用する設備 イラスト)主な掘削設備の種類

第2次世界大戦後、アメリカのルイジアナ沖での海底油田開発の成功と、その後の世界各地の海底油田の発見がきっかけとなり、リグと呼ばれる掘削設備を利用した海洋掘削が行われるようになりました。リグには、稼働する海域の水深等に合わせて、ジャッキアップ型とセミサブマージブル(セミサブ)型、ドリルシップの3種類が現在利用されています。

ジャッキアップ型掘削リグ


ジャッキアップ型掘削リグ

ジャッキアップ型は、甲板昇降型とも言われ、掘削機器等を搭載したハル(船体)にジャッキ装置を取り付けて、脚部(レグ)を上下に動かせるようにした掘削リグです。掘削地点に到着すると脚部を海底に降ろし、ハルを海面上に上昇させて固定し、掘削作業を行います。水深120メートル程度までの比較的浅い沿岸海域で利用されています。

セミサブマージブル(セミサブ)型掘削リグ

セミサブマーシブル(セミサブ)型掘削リグ

セミサブマーシブル(セミサブ)型)は、掘削機器を搭載したドリリング・デッキとデッキを支えるコラム、浮力を持つロアー・ハルで構成されます。掘削地点に到達すると、ロアー・ハル内に海水を入れ、全体の半分程を沈めて、アンカーによる係留などで位置を保持し、掘削作業を行います。ジャッキアップ型では難しかった、水深100メートル以深の海域の経済的な掘削が可能です。

ドリルシップ


ドリルシップ

ドリルシップは船型とも言われ、船に掘削機器等を搭載した掘削設備です。掘削作業時には、位置調整用の推進機器(スラスター)をコンピュータで制御して、特定のポイントに船の位置を保持するDPS(ダイナミック・ポジショニング・システム)が搭載されています。掘削リグとは異なり、自航能力があるため、高い移動能力を備えています。

生産に利用される設備

図)主な生産設備の種類

海洋石油・ガス生産設備は、生産設備の足場を海底に固定する固定式と生産設備を洋上に浮かべて係留する浮体式に大別されます。浮体式は、稼働する水深や係留方法、生産設備が備える機能によって、主にセミサブマージブル型、テンションレッグ・プラットフォーム(TLP)、スパー(SPAR)、FPSO(浮体式石油生産・貯蔵・積出設備)の4つに分類されます。

固定式生産設備
固定式プラットフォーム

固定式プラットフォームは、レグを海底に打ち込む、もしくは設備自体の自重によって海底面に固定した生産設備です。メキシコ湾を中心に世界で7000基ほどが利用されています。水深が深くなるに従って建造費用が増加するため、水深400m 前後までの海域で経済的な利用が可能です。

固定式プラットフォーム

浮体式生産設備
セミサブマーシブル型

セミサブマーシブル(セミサブ)型は、掘削設備として利用したセミサブ型掘削リグを改造して生産機器を搭載した生産設備です。固定式プラットフォームの利用が困難な水深1000m以上の深い海域で利用することができます。貯蔵設備を持たないため、浮体式貯蔵設備と組みわせて利用する、もしくは、パイプラインに接続して利用されます。

セミサブマージブル型

テンションレッグ・プラットフォーム(TLP)

TLP(Tension Leg Platform: 緊張係留式プラットフォーム)は、浮体自身の余剰浮力をテンドンと呼ばれる緊張索にかけることで緊張係留する生産設備です。浮体には垂直方向に対して強い力が常時かかるため、水平・垂直方向への動揺が抑制されます。貯蔵設備がないため、浮体式貯蔵設備やパイプラインが必要となります。

テンションレッグ・プラットフォーム(TLP)

スパー(SPAR)

スパーは、FPSOの貯蔵能力とTLPの動揺の少なさ、という利点を併せ持った生産設備として開発されました。しかし、国際条約等の変更により、現在では貯蔵能力を持ったスパーは存在していません。巨大な2重円筒構造を採用しており、スパーの中心は、生産用のパイプラインを通すための開口部が設置されています。最大水深は約2400mで、メキシコ湾を中心に利用されています。

スパー(SPAR)

FPSO/FLNG

FPSO(Floating Production, Storage and Offloading system: 浮体式石油生産・貯蔵・積出設備)は、タンカーもしくはバージ型の浮体に、生産・貯蔵・積出機器を搭載した生産設備です。浮体が受ける力を小さくするように、外力を受ける方向に合わせて回転できるように、浮体の係留の上端には回転機構が設置されています。また、天然ガスの生産・貯蔵設備を搭載したFPSOは、LNG-FPSO(FLNG)と呼ばれており、現在実用化が進められています。

FPSO/FLNG

オフショア支援船

オフショア支援船は、浮体式掘削・生産設備が開発フィールドで滞りなく操業できるように、浮体式掘削・生産設備の移動や係留、物資の運搬などを補助的な作業を担う船です。主に掘削・生産設備に必要な物資を輸送するプラットフォーム・サプライ船(PSV)と掘削・生産設備の移動やアンカーの巻き上げや海底パイプラインの敷設補助などを行うアンカーハンドリング・タグサプライ船(AHTS)の2種類があります。

輸送に利用する設備

海上設備で生産された石油・天然ガスは、パイプラインやシャトル・タンカーによって陸上基地まで輸送され、そこからさらに原油タンカーやLNG船等によって消費地の受入基地に輸送され、タンクローリーやパイプラインを通じて消費者のもとに届けられます。

原油タンカー/シャトル・タンカー

タンカーは、原油を輸送するための船で、船内に貯蔵用の大型タンクを搭載しています。パイプラインによって陸上基地に輸送された原油を消費地の受入基地に輸送する際に用いられます。シャトル・タンカーは、DPSを搭載したタンカーで、貯蔵機器を備えた浮体式設備から原油を直接積み下ろし、、消費地の受入基地まで輸送することができます。

原油タンカー/シャトル・タンカー

LNG船

LNG船は、液化された天然ガスを輸送する船。天然ガスは液化すると容積が600分の1になるため、船で輸送する際は液化した状態で運ばれる。天然ガスの沸点はマイナス162度と非常に低温なため、液化天然ガス(LNG)を貯蔵するタンクは、高性能の断熱材で覆われています。

LNG船

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